【声マガ・インタビュー】野口 瑠璃子

インタビュー

PROFILE

アーツビジョンに所属する野口のぐち瑠璃子るりこさんは、福岡県出身の7月6日生まれ。『BEYBLADE X』(七色マルチ役)、『Extreme Hearts』(葉山陽和役)、『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』(サリー〈白峯理沙〉役)に出演。2025年は『ウマ娘シンデレラグレイ』でサクラチヨノオー役、『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』で星乃一歌役を熱演。
プライベートでは「引っ越しをきっかけに最近、断捨離にハマった」という野口さん。「もう何年も着ていない洋服とか使っていないものから捨てていった」そうで、「とにかく思い切っていろいろなものを捨てて、気持ちがスッキリしています」と晴れやかな笑顔で話します。そんな野口さんに、声優をめざしたきっかけや日本ナレーション演技研究所(以下、日ナレ)で学んだこと、今後の目標などを語っていただきました。

声優をめざしたきっかけは知人からのアドバイス

声優という仕事を意識したのはいつ頃ですか?

姉の影響でゲームをやり始めた中学生の時でした。声優さんやアニメやゲームについて詳しいクラスメイトの影響で、私も自分がハマっているゲームの声優さんが出ているイベントを見るようになりました。
トークだったり、朗読劇だったり、キャラクターソングだったり、声優さんってこんなにマルチな活動をするんだと思ったのが最初でした。

声優をめざそうと思ったきっかけは?

高校2年生の時、大学で何を勉強するかとか、将来どういう職業に就くかなど悩んだ時期がありました。
自分は歌うことが好きだったし、お芝居の経験はないけれど、舞台を観るのがすごく好きでお芝居にも興味があったので、音楽業界で働いている知人にどうしたらいいか相談したんです。そうしたら、その方から「声優がいいんじゃない?」と言われまして、私もスッと「そうだ、声優だ!」って思ったんです。
そうと決めたら一刻も早く声優になるための行動を起こしたいという気持ちが強くなって、高校3年生の4月から日ナレに通い始めました。

日ナレを選んだのはなぜですか?

高校生でも通えること、金額的に学生にとってリーズナブルであること、さらに自分の通っている高校から通いやすい場所にあったことが決め手でした。

楽しかった基礎科から一転、壁にあたった本科でのレッスン

入所した頃の生活サイクルを教えてください

毎週土曜日、高校の授業が終わった後、日ナレに通っていました。大学受験もするつもりでしたので、両立はけっこう大変で、今振り返ると、あんまり覚えていないくらい毎日頑張って目まぐるしい日々を送っていたなって思います(笑)。

大学進学はやめて、声優一本に絞ろうとは思わなかったのですか?

家族もまわりの友達も大学に行くのは当たり前という環境でしたので、行かないという考えは全くありませんでした。
それに万が一、声優になれなかった時、大学に行っておけばまた違う道が開けるかなとも思いましたので、大学進学は自分の中ではマストというか、当たり前でした。

入所した頃の日ナレの印象を教えてください

とにかく日ナレに通うことが楽しくて仕方ありませんでした。
演技を学ぶのは初めてでしたので、自分にできるのかとか、自分は声優に向いているのかとか、一つひとつ確かめながらの日々で、なかなかうまくできないという苦しみもありましたけど、基礎科ではとにかく演技をすることの楽しさを教えてもらった1年だったと思います。
クラスの雰囲気もとても良くて、クラスメイトからもたくさんの刺激をもらいました。クラスメイトには私のような学生から、一回りくらい年上で働いている方までいろいろな年代の方がいて、そういう環境の中で同じ目標に向かって切磋琢磨できることは私にとって魅力的でした。
皆の頑張りを間近に見ることで、自分も努力しなきゃいけないなと思えましたし、本当に刺激的で楽しい日々だったと思います。

本科のレッスンはいかがでしたか?

基礎科とは大きく雰囲気が変わり、指摘をいただくことも多く、鍛えられた1年でした。
セリフを覚えてボイスドラマを作るということをやったのですが、声だけのお芝居ってむちゃくちゃ大変だということを痛感しました。講師の方からは「違う」「そうじゃない」って言われ続けて、何をやったらOKなのか、どうしたら褒めてもらえるのか、本当にもがき続けた1年でした。
でも、苦しみが大きかった分、本科での学びは、プロへの道に近づいていく感じがして、より頑張りたいと思いました。

研修科のレッスンはいかがでしたか?

本科で学んだことがあったからこそ、今回はより楽しく取り組めました。
ワクワクするような課題が出る楽しみもありましたし、クラスメイトがとにかく明るくて、みんなと一緒に過ごす楽しみもありました。

例えばどんな課題があったのですか?

お笑い芸人さんのネタをコピーして、みんなの前で発表するという課題はすごく印象に残っています。
私は柳原可奈子さんのゲームセンターの店員さんのネタをやったのですが、笑いを誘う抑揚とか間合いとか、「あるある」って思ってもらえる喋りとか、芝居に関連して学ぶことがいっぱいあって、本当に勉強になりました。
何より恥ずかしがっていては誰も笑ってくれませんから、余計なことを考えず、その人物になりきることが大事なんだということを改めて感じましたし、その時間を通じてクラスメイトとの絆が一層深まった楽しい授業でもありました。

本科・研修科のレッスンと大学の二刀流で頑張った新人時代

事務所に所属したのはいつですか?

基礎科の終わりの所内オーディションに合格し、アーツビジョンに所属しました。
翌年は大学進学もあるし、声優という仕事が自分に合わないのであれば何年学んでも無理だろうと思っていたので、基礎科の1年で決めたいと思っていたんです。その通りになったので、合格と聞いた時は本当に嬉しかったです。
もちろん、ここからさらに険しい道が始まるのかもしれないという思いもよぎりましたが、今まで基礎科で学んできたことを信じて頑張ろうって思いました。

初めてのお仕事は何でしたか?

所属して3カ月後くらいにいただいたPCゲームのお仕事でした。
まだ基礎科で1年しか学んでいないのに3役を任せていただいて。緊張しながらもその時できる最大限で演じたつもりですけれど、後々聞いてみたらもうダメダメだって思って、すごく反省したし、もっと頑張らなきゃ! って思えた初仕事でした。

大学での勉強とお仕事との両立は大変ではありませんでしたか?

事務所が学業優先にしてくれていたので、授業がある日はほぼお仕事はしていませんでした。なので、本科と研修科で勉強した新人時代は大学の授業と日ナレのレッスンがメインの生活でした。
ただ自分としてはせっかく事務所に入れてもらったのに、大学の授業を理由にお仕事をしないというのは正しいことなのかというモヤモヤした気持ちを抱えていました。大学へ行かずに事務所に所属した同期は、私が大学へ行っている間にお仕事をしていましたし、私、何をやっているんだろうっていう気持ちはずっとありました。

一方、大学に進学して良かったと思うことは?

たぶん大学に行っていなかったら、四六時中、「仕事ないな、どうしよう」とか、「仕事をいただくには何をしたらいいんだろう」みたいなことばかり考えていたと思います。
それが大学に通うことで、息抜きではないですけど、仕事のことをあまり考えない時間を持てたことがまずひとつ。それから、純粋に大学の授業は自分自身の学びになりましたし、大学の友人との時間は癒しにもなりました。大学生活でしか味わえない経験もたくさん重ねることができたので、結果的に大学に行ってよかったと思っています。

臨機応変が求められる現場で役立った日ナレのレッスン

デビュー当時のお仕事で一番印象に残っている作品は何ですか?

事務所に所属後、3年目に出演した初めてのアニメのレギュラー『SHOW BY ROCK!!#』です。ベテランの大先輩ばかりの中、自分一人だけが新人という状況で、信じられないぐらい緊張しました。
精神的にも技術的にも全然足りなくて、まだまだだなって痛感することばかりだったのですが、でもそういうピリッとした経験をしたからこそ、次も気を引き締めてお仕事に向かわなければと思えるようになったので、大変ではありましたけど、すごく自分の力になった作品だったなと思っています。

ターニングポイントになった作品はありますか?

長く続いている作品は関わる回数が多い分、いろんな学びや気づきがあるなと感じています。例えば『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』は5年くらい続いているのですが、楽曲レコーディングの回数もすごく多いですし、毎月新しいセリフの収録があるので、そういう積み重ねで、「これだけやっているのだから大丈夫」という自信が持てるようになりました。
そうした中で、私の中で星乃一歌というキャラクターがしっかり確立されたと感じた瞬間もあって、それによって演じることが純粋にすごく楽しめるようになりました。

日ナレのレッスンが仕事の現場で活きていると感じることはありますか?

ひとつの台本をいろんなパターンで演じるという授業を受けた経験は本当に今も役に立っています。実際の仕事現場では、自分がこれがいいと思って演じてみても、監督や演出サイドから「こうしてください」「ああしてください」と違う表現を求める指示がいろいろ出され、臨機応変にそれに対応できなければなりません。
日ナレのレッスンでひとつの台本からいろいろなパターンを演じられるよう導いてくださり、自分の引き出しが増えたことは今に活きていると思います。

プロになった今、日ナレの講師のアドバイスで役に立っていることはありますか?

「何行かセリフが続いた時、気持ちはずっと同じではなくどんどん切り替わっていくものなのだから、一行一行分解して、この一行の気持ちはこう、この一行の気持ちはこうというふうに新たに気持ちを入れていかなければいけない」と教えられたことです。
今、お仕事で長いセリフが続く時は、その教え通り、一行一行分解して、気持ちを新たに入れることを実践しています。

今後はどんな声優をめざしていますか?

私はいただく役柄が結構バラバラで、それはいろんな役ができるっていうことなのかなと思っているので、これからもなんでも演じられるような人になりたいなと思っています。

そのためにどんな努力を重ねられていますか?

例えば洋画の吹き替えのお仕事の場合は、役者さんの喋り方や表情をガイドに演技をするのですが、普段の自分の喋りはもちろん、アニメでも出てこないような独特な節回しで演じなくてはなりません。
そんなふうにいろいろなキャラクターを演じるためには、普段からたくさんのものを吸収して、自分の引き出しを増やしておかないといけないなと思うので、アニメやゲーム、ドラマや映画、舞台等々、様々な作品を観て、役者さんのさまざまな演技や技術を自分のものにするという経験は、常日頃から意識して重ねるようにしています。

最後に声優をめざしている方へメッセージをお願いします。

今、日ナレでの時間を振り返った時、良かったなと思うことのひとつに気の合う仲間と出会えたことがあります。皆でひとつの芝居を作り上げる時間はすごく楽しかったし、青春だったなって思います。その仲間たちとは一緒に夢に向かって切磋琢磨した分、絆が強く、それぞれが違う事務所に所属して夢を叶えている今も、芝居について相談することもありますし、皆が頑張っている姿を見て、自分も今ある仕事を大切に、皆に恥じないように頑張らなければと思えます。
そういう人たちに出会えた日ナレでの経験はかけがえのない宝物。日ナレで勉強している最中は、私は声優に向いているのかなと苦しむことも多かったですが、振り返ると苦しんでいた時間は無駄ではなかったし、あの時期があったから今があると思えます。だから皆さんも、自分の声や表現を信じて、まわりのアドバイスにも耳を傾けて、仲間たちと一緒にとにかくやってみてほしいと思います。
そうすれば、必ず自分の未来のための何かが見つかるはずです。

あと、学業との両立はきっと大変だと思います。でも色々やりたい自分を否定せずに頑張ってほしいです。学業も、サークルも、バイトも、外に遊びに行くことも、そこで得たものを演技に活かしていけたら一番いいのではないかと思うので、日ナレに通いながらもいろんな経験を積むといいと思います。
そして何か悩みや壁にぶつかったら、躊躇せず周囲の人に相談することです。逃げてしまっては後々笑えません。最初は滅茶苦茶でもいいのでとにかくやり切ることが大事だと思います。

プロフィール

野口のぐち 瑠璃子るりこ
所属事務所:アーツビジョン
主な出演歴
BEYBLADE X(七色マルチ)
ウマ娘シンデレラグレイ(サクラチヨノオー)
プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク(星乃一歌)
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