【声マガ・インタビュー】Lynn

インタビュー

PROFILE

アーツビジョンに所属するLynnりんさんは、新潟県出身の6月1日生まれ。『機動戦士ガンダム 水星の魔女(ミオリネ・レンブラン役)』、『君の膵臓をたべたい(山内桜良役)』、劇場版『「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来(恋雪役)』、等に出演。2026年は、劇場版『転生したらスライムだった件 蒼海の涙編』にルミナス役で出演。
プライベートでは、「今年から日記をつけ始めた」というLynnさん。「いろいろなデザインシールやペンを使って、その日のテーマに合わせてデコりながらつけています」。そんなLynnさんに、声優をめざしたきっかけや日本ナレーション演技研究所(以下、日ナレ)で学んだこと、今後の目標などを語っていただきました。

コナンの声と犬夜叉の声に魅了され、声優になることを決意

声優という仕事を意識したのはいつ頃ですか?

小学校中学年の頃、『名探偵コナン』と『犬夜叉』が大好きで、「主人公の工藤新一君と犬夜叉の声が同じかも⁉」って気づいたことがきっかけでした。エンディングのクレジットでどちらも山口勝平さんという方が演じられていることを知って、声優という職業があることを知りました。

声優をめざそうと思ったきっかけは?

子どもの頃からごっこ遊びの延長で、お芝居をしたり、歌を歌うことが好きだったので、漠然と芸能界とか表現するお仕事に就きたいなという憧れを持っていました。
そんな時、声優というお仕事は自分の見た目や年齢に関係なく、いろいろなお芝居ができることを知って、「これだ!」って思ったんです。そこからはもう「絶対声優になる!」と思って、小学校の卒業文集にもそう書きましたし、親にも言いました。

声優になるためにアクションを起こしたのはいつですか?

声優養成所に通いたいと思って調べたところ、当時、私が住んでいる新潟には見当たらなくて、東京には日ナレという養成所があって、中学生から通えるジュニア声優クラスがあるらしいということを知って、母親に「これ、行きたいのですが」って伝えました。
でも、さすがに「中学生が東京に通うのは無理」と反対されまして。ただ、「高校生になってもまだその夢を諦めていなかったらその時もう1回考えよう」と言ってくれたので、中学3年間は早く高校生にならないかなって思いながら過ごしていました。

中学生で遠方の養成所に通いたいと思うとは自立心旺盛な子どもだったのですね。

これって決めたら絶対やりたいタイプですし、東京への憧れっていうのもあったかもしれません。でも一番は「早く声優の仕事をやりたい」という思いでした。
声優についていろいろ調べる中で、若くして声優になっている人がたくさんいることも知ったので、早く始めれば始めるだけいいって思っていたんです。なので、中学時代は漫画を声に出して読んで役になり切って演じてみたり、吹き替えドラマなども見ながら「早く養成所に通いたいな」って思っていました。

新潟から片道3時間以上かけて日ナレのレッスンに通った高校時代

日ナレに通い始めたのはいつですか?

中学3年生の時に入所審査を受けて、高校1年生から通い始めました。
基本的に「好きなことをやりなさい」って応援してくれる親なので反対はされませんでした。ただ、進学したのが勉強に一生懸命な高校だったので、「学業をおろそかにしない」という約束はさせられました。「他の子は塾とか通うけれど、養成所に通うなら塾には通わせられないから勉強は自分でちゃんとやりなさい」という条件のもと、通い始めました。

入所した頃の生活サイクルを教えてください。

1年目の基礎科の頃は、平日は学校に通って、土曜日に新潟から上京してレッスンを受けて、日曜日はお休みという生活でした。
1年でそのサイクルでやっていけるという自信がついたので、高2になってからはやりたかった部活に入って、土曜日は部活、レッスンは日曜日という生活でした。

新潟から通うのは大変ではなかったですか?

家から新幹線の駅までローカル線で1時間、そこから2時間新幹線に乗って、片道3時間以上かけて日ナレに行き、レッスンを受けて、その後クラスメイトと一緒にご飯を食べて、また3時間以上かけて家に帰るというサイクルでした。
当時はエネルギッシュだったのか、大変って感じた記憶がないんです。毎週、クラスメイトに会えるのが楽しみだったし、講師の先生も好きでしたから。

学業との両立は大変ではなかったですか?

平日は学校の課題をやった後に日ナレの課題をやったり、日ナレに通う新幹線の中で学校の課題をやったり、うまくやりくりできていたと思います。むしろ学校のコミュニティと日ナレのコミュニティの2つに属しているのが楽しかったです。

入所した頃の日ナレの印象を教えてください。

学校は同年代の子たちの集まりですが、日ナレは高1の私が一番年下で、30代のお兄さんやお姉さんたちもいたので、ちょっと大人の世界って感じがしました。
でも、皆、同じ夢を持っている人たちなので、分け隔てなくおしゃべりできて、レッスン以外の時間もご飯を食べに行ったり、一緒に過ごして、すごくいい仲間に出会えて幸せでした。

基礎科で印象に残っているレッスンはありますか?

基礎科の終りに集大成として『スタンドバイミー』というお芝居をやった時のことが印象に残っています。恋愛の話だったのですが、私は自分が演じる女の子の気持ちがわからなすぎてどう演じたらいいかわからなくて、半べそ状態になってしまったんです。
そうしたら、講師の方が「それでいいんだよ」と言ってくださって。「そもそも自分とはまったく違う人物を演じるのだから当然わからないことはあるし、自分がしたことのない経験をしている役に戸惑うのは当たり前。その中で思い悩むのはその役のことをちゃんと考えているということだから自信を持って頑張って。あなたにスポットライトが当たる日はきっと近いから」と言ってくださったんです。
それがとても嬉しかったですし、自信をもってこれからも頑張っていこうって思える力になりました。

本科で印象に残っていることは?

シェイクスピアの『真夏の夜の夢』という舞台をやったのですが、私が演じたヒロインはよく覚えられたなっていうくらい膨大なセリフと難しい言い回しがあったんです。
でも、その分、やりがいがありましたし、終わった時の達成感はすごく大きかったですし、お芝居って楽しいってすごく感じた良い思い出になっています。

研修科はいかがでしたか?

皆の前にひとりで立って、道化師になってなんでもいいから何かをやって皆を笑わせるというレッスンがとても印象に残っています。恥ずかしがり屋の私は本当に嫌だったのですが、恥ずかしがらずに、失敗を恐れずに、自分をさらけ出して表現することの大切さを教えられたし、すごくメンタルを鍛えられたレッスンでした。
声優ってセリフをもらってその役になり切って演じるわけですが、役を得るためのオーディションでは自己PRの審査があったりもするので、自分をどう表現するかを考えることも必要なんです。その面でもすごく意味のあるレッスンだったなって思います。

主人公を演じたことを分岐点に引っ込み思案だった自分がさらに変化

事務所に所属したのはいつですか?

高校1年生の時、基礎科の終わりの所内オーディションに合格し、アーツビジョンに所属しました。1年目で合格は無理だろうと思う反面、若さゆえの根拠のない自信があって、強気でオーディションを受けた記憶があります。
親にも応援してもらって、新潟から通わせてもらっていたので、早く結果が出せたのは本当に良かったなって思いました。

所属後、生活は変わりましたか?

高校生の間は新潟の実家暮らしでしたし、学校の先生に大学に行くよう勧められていて、事務所も「学業優先で、高校を卒業してから本格的に始動しましょう」と言ってくださったので、高校時代はオーディションやお仕事はほとんどありませんでした。
初めてのお仕事は、高校卒業して上京してすぐの頃にいただいた、遊技機のガイドボイスでした。

デビュー当時のお仕事で印象に残っていることを教えてください。

デビューしてから3~4年は、外画の吹き替えのお仕事をたくさんやらせていただきました。
外画の吹き替えの現場はベテランの先輩方と共演させていただくことが多く、先輩方がヘッドホンやレシーバーの使い方など優しく教えてくださって、毎回本当に楽しかったし、何より、大先輩方のお芝居を近くで見て学ばせていただけて、すごくいい経験になりました。

初期の頃のアニメ出演作で印象に残っている作品は?

初のレギュラーの『さばげぶっ!』です。現場は同年代の女の子ばかりで、それまでの現場と空気感がぜんぜん違いましたし、初めてのユニット活動でアフレコ以外にも歌やダンス、イベントなどもやらせていただいて、学ぶことも刺激もたくさんありました。

ご自身にとって、ターニングポイントとなったと感じられる作品は?

初めて主人公を演じさせていただいた『競女!!!!!!!!』と同じく主人公を演じさせていただいた『風夏』は自分の中で大きな変化を得る作品となりました。
特に『風夏』はバンドのボーカル役だったので、歌が必須だったんです。私は日ナレで歌のレッスンを受けていなかったので、ロックの歌い方を学ぶためにボイストレーニングに通ってスキルを身につけて臨んだのですが、そこからありがたいことに歌のお仕事が増えました。
あと、『風夏』では、共演者やスタッフの方とご飯を食べに行ったり飲みに行く機会が結構あったんです。それまで引っ込み思案の性格からそういう場に行くのがあまり得意ではなかったのですが、参加するうちに人と人とのつながりが大事な世界なんだなってすごく感じるようになって、徐々にそういう場でも素の自分が出せるようになりました。
その頃、ファンの方からも「Lynnちゃん、笑顔が増えたよね」って言われるようになりました。アニメ作品はいろいろな人の力の集結で、ひとりでは何も成し遂げられません。私はそのことに気づくのがちょっと遅かったなと思うので、昔の自分に会えるなら、もっと早くからいろいろな人とお話をしたほうがいいよって言ってあげたいです。

現場で活きている日ナレで培った対応力と瞬発力

日ナレでの教えが現場で役に立っているなと思うことはありますか?

日ナレでは、課題を与えられて、次のレッスンまでの1週間で自分なりに表現方法を考えて、講師の方やクラスメイトの前で発表して、その場でいただいたアドバイスをすぐに反映させるというレッスンを繰り返しましたが、プロのアフレコの現場でも同じことを求められます。
台本をもらって家で自分でプランニングして、現場でテストでやってみて、監督から指示を受けたらその場ですぐに直せなければいけません。対応力や瞬発力がすごく必要で、その力は日ナレで身につけさせてもらえたなと実感しています。

声優になって苦労したことはありますか?

個人的に苦手だなって思っているのは、作品のインタビューです。私は直感的というか感覚で役柄を作っていくタイプなので、この役を作るためにどういう役作りをしたかとか、どういう気持ちでこのセリフを言ったかとかを言語化するのがすごく難しくて。
原作の先生や監督などいろいろな人の思いもありますから、間違ったことを言ってはいけないと考えるとなおさら言葉が出てこなくて。でも、自分がお客さんだったら聞きたい気持ちもわかるので、もっと上手に言葉にできたらいいなって思っています。

ご自身が考える声優の仕事の魅力について教えてください。

ありがたいことに、アニメや外画の吹き替え、ゲーム、ナレーション、歌といろいろやらせていただいています。日ナレに通っていた頃は声優にはこんなにもいろいろな仕事があると思っていなかったので、もうビックリなんですけど、どれも異なる面白さがあるんです。
仕事の幅が多岐にわたるのが声優の魅力ですし、いろいろなスキルを求められるのも声優の面白さだと思います。

やめたいと思ったことは一度もないくらい声優の仕事は楽しい

自分の声優としての強みは何だと思いますか?

よく「エンドクレジットを見るまでLynnって気づかなかった」って言われることがあるのですが、私はそれがすごく嬉しいんです。
そんなふうに声幅や役幅、年齢幅が広くて、いろいろな役柄を演じられて、うまく作品に溶け込めているのが自分のいいところなのかなって思います。でも、反面、「この声はあの人!」ってすぐわかる人にも憧れがあるんですけどね。

やってみたいお仕事など今後の展望や目標を教えてください。

ずっと言っていることなのですが、『名探偵コナン』が好きだったので、アニメの男の子主人公をいつか演じられたらいいなって思っています。
でも本当に、今までたくさんのキャラクターに出会わせていただけたことが幸せで、これからもそういう素敵な出会いがたくさんあると信じて、がむしゃらに頑張っていきたいです。声優になってからやめたいと思ったことはないぐらい毎日楽しくて、一生続けていきたいと思っていますので。

最後に声優をめざしている方へメッセージをお願いします。

以前、芸能人の方と一緒にアニメのアフレコをした時に、片手で台本を持って、台本を見て映像を見てセリフをあてるとか、音を立てないように立ったり座ったりページをめくったりすることについて、「皆さんなんでそんなに普通にできるんですか? とても技術のいることやってますよ」って言われたんです。
声優って本当にスキルが必要な専門職で、そういう基礎が重要であることを日ナレでは教えてくれていたんだなって今、すごく納得しています。私がそうだったように、皆さんも日ナレに通いながら、このレッスンはどういう意味があるんだろうって思うことがあるかもしれません。
でも、後々、絶対に、「ここに繋がっていたのか!」っていう発見がたくさんあると思います。何より、いろいろな年代、職種の人たちが、同じ時間同じ場所に集まって、同じ夢に向かって頑張るレッスンの時間はものすごく尊いものです。その時間を存分に味わって、そしてその先にはもっともっと楽しいことが待っていると思って、めげずに挑み続けてください。

Lynnさん同様、日ナレのない地方に住む声優をめざす読者にもひと言お願いします。

私は高校時代、新潟から東京の日ナレに時間もお金もかかる中、ひとりで通って、それを応援してくれた親には本当に感謝で、その恩返しの意味でも頑張りたいと思っているのですが、それだけの熱量で向き合った時間というのはちゃんと自分に返ってくると今、実感しています。
ですから、距離とか時間とかお金とかいろいろ悩むことはあるかもしれませんが、それを言い訳にせず、声優になりたいという自分の気持ちを大事にしてあげてください。

プロフィール

Lynnりん
所属事務所:アーツビジョン
主な出演歴
機動戦士ガンダム 水星の魔女(ミオリネ・レンブラン)
転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます(シルファ)
【推しの子】(斉藤ミヤコ)
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